リレーコラム 私の考える「『生きる力』をはぐくむ」とは?

第12回
ソマティック・エナジェティクス・ジャパン代表
きむらゆきさん

はじめまして。きむらゆきです。この度は貴重な機会をいただきましてありがとうございます。
私は子育てを通して人間の発達や教育について学ばせていただいた一人です。
現在は執筆と講演活動を通してサドベリー教育に学んだ「信頼と尊重のコミュニケーション」を伝えたり、癒しの仕事をしています。

2002年、私は長男が伸び伸び遊べる場所を探していて、
マリア・モンテッソーリの子ども観や斎藤公子保育を学んで取り入れている里山の保育園と出会いました。
その園の先生達は、何かに取り組んで集中している子ども達の時間をとても大切にしてくれました。
そこで私達夫婦は「この園のように子どもの自発性や創造性を大切にしてくれる、小学校はないのかな?」と思うようになりました。
NHKの教育特番で「自由の中の全人教育」と紹介されたサドベリー・バレー・スクールを知ったのはその頃です。
勉強会に参加して、他にも多様な教育実践があることや法律についても学びました。
夫婦で国内外の研修に参加して、2007年からの4年半は湘南サドベリースクールの立ち上げとスタッフを経験しました。

子どもが自由に学び育つことを支持する教育理念に触れて、研修や実践の中で理解していくことは、
私にとって大きな癒しのプロセスでもありました。
古い観念や制限の存在に気づかせてもらい、自分がたくさんのあきらめを生きていたことを知りました。
「自分を生きる」ことを学んだお蔭で、30代に入ってようやく自分を好きになり始めたように思います。
自分自身にくつろぐということ。ありのままの自分であって楽しむということ。生きる喜び。
子どもと接する時間を通して私達は、自分を許し、愛するチャンスをもらっているのかもしれません。

そんな私にとって“生きる”とは生命の実感や手応えであり、
それらとともに心に刻まれる、自分の物語を編むということです。
生きる力”とは自分自身を感じること。より良く知って自分を表現し、他者とつながること。
人間は一人では生きられませんし、環境に生かされてもいますね。
ですから自分以外の人を思いやり、環境を理解しながらコミュニケーションとバランスをとっていく必要があって、
そこに学びと成長が生まれると考えています。

子どもたちの“生きる力をはぐくむ”ためにしていることは、
彼らが彼らの興味と関心から活動する時間と場所を提供することです。
子どもたちがありのままで世界とつながっていくサポートを、日常のひとつひとつの積み重ねとして続けています。
サポートには、相手のしていることを邪魔しないことや、自分の好みを押し付けないことも含まれます。
子どもを「自由にさせる」のではなく、「生まれた時から一人の自由な人」として向き合い、
やりたいことや困ったことについては話し合いながら接しています
好奇心から始まる活動によって自信や自尊心が育まれ、
お互いを尊重しあう人間関係に繋がっていくのを知っているからです。

3.11をきっかけに癒しの仕事に導かれた私は、
子育て・教育と癒しが深く関係していることを更に体験することになりました。
「子どもとの関係が良くなりました」「自分が愛されていたことを感じることができました」
「夫とこれまでにしたことのないような深い話ができました」「自分を感じられるようになりました」などの嬉しいご報告を読みながら、
私もそう私も同じ、よかったよかったと、時に涙がこぼれます。
ひとりが癒されることがどれほどの愛を周囲にもたらすかを目の当たりにすると、
生きることは本当に素晴らしいと感じます。

自分の中の自分像と外から見た自分像が一致しているとき、人は自分が自分らしく生きていると感じ、
安定した精神状態を保つといいます。
自由であること。自らを由として行動し責任を引き受けるということは、
ひとつひとつの選択を自分自身を問う機会としてしっかりと受け止めるということではないでしょうか。
好奇心というものがあるから人は、本当に難しい仕事を成し遂げて成長していきます。
そして子どもであっても大人であっても、信頼と尊重によってはぐくまれた経験は、
多様な価値観と生活様式の入り混じる社会で、自分を保持するための力となっていくことでしょう。
私の考える“生きる力”とは、そんな風なものなのです。

【今回の執筆者】
きむらゆきさん

サドベリー・バレー・スクールの教育実践に魅了され、国内外の研修に参加。
湘南サドベリースクールの立ち上げとスタッフを経験した後、
現在は執筆と講演活動を通して「信頼と尊重のコミュニケーション」を伝えている。四児の母。
作家アラン・コーエン氏の認定ライフコーチ、
心身の調和をサポートするエナジー・ワーカー(ソマティック・エナジェティクスの日本の第一人者)としても活躍中。
著書に3冊の小冊子。
日本で、サドベリー~教育もステキに選びたい~」著/きむらゆき
信頼と尊重のコミュニケーション~サドベリー教育から学んだこと~」著/きむらゆき
くまとからす~地球と調和して生きる 美しく健やかなタマシイをはぐくむ6つのお話とコラム~ お話会用」翻訳/きむら ゆき
…ネイティブ・アメリカン コースト・サリッシュ族に口伝で伝えられてきたお話。日本語の音読のリズムにこだわって訳しました。読み聞かせやお話会にどうぞ。

ソマティック・エナジェティクス・ジャパン http://somaticenergetics.jp/

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富岡 麻美

富岡 麻美

1975年、愛知県生まれ。フリーランスライター。2児の母。大手企業数社でのアシスタント、秘書を経て結婚。海と山に近いまちで、子育てをしながらライフワークであるライティングおよび各種NPOの活動に従事。子どもの誕生がきっかけで幼児教育に興味を持ち、独学で学ぶ。様々な教育法を取り入れながらも独自のスタイルで、勝手気ままな育児の真っ最中。2012年より「NPO法人いきはぐ」ライターとして活動。