リレーコラム 私の考える「『生きる力』をはぐくむ」とは?

第15回(前) ※今回は、前後編に分けてお届けします。
飲食店オーナー
鶴賀太郎さん

お子さんをいい学校に入れたいですか?そりゃ入れたいですよね。
何ででしょう?いい教育をつけることができるからですか?
いい友人に恵まれるからですか?そもそもいい学校って何なんでしょうね。

独自の教育のメソッドを持っていたり、伸びやかな校風だったり、素晴らしい設備を持っていたりと色々な尺度があり、
ひとつの正解なんてないと誰もが言うのではないかと思います。

でもいざ自分のことになると、どこかに理想の学校があるんじゃないかと思ってしまうことも少なくありません。

以前、『中学受験』(新潮新書)の著者であり社会派ジャーナリストの横田増生さんとお話をしていた時に
「地方出身で中高一貫校に馴染みのない人は、私立一貫校をメディアの喧伝するままの楽園だと思ってしまいがちです」
と仰っていました。

私は東京の私立校出身だから関係ないわ、と思う人もいるでしょう。でも本当にそうでしょうか?
慶応幼稚舎に入ることが子供の幸せにつながるとか、中学受験御三家に合格したら将来は明るいとかついつい思ってしまう人、
少なからず見てきました。

というのも僕自身がそういうコンテクストで育ってきたのです。首尾よく中学受験で難関校に入り、
一流とされる大学を卒業し、名のある企業に就職しました。そうした派手な経歴を経た末に僕は今、
学歴そのものに何の意味もないという結論にたどり着いています。

至極当たり前のことを言っているように聞こえるかも知れませんが、
実は僕自身がこの結論に到るまでには長い時間がかかりました。
僕の母親はいわゆる教育ママで受験を一種のゲームのように考えていました。
偏差値の高い学校に受かったらエライという論法です。当然その価値観は僕にも影響を及ぼし、
名門校に通う自分のことを特別な奴だと思う鼻持ちならない子どもに育ちました。

それでも社会人になって学歴があまり問われない外資系で働くようになると、
徐々にそういうコンテクストから解放されるようになりました。それに伴い面白いことが生じました。
中学高校時代に習ったことの意味が次第にわかるようになってきたのです。

改めて何かをしたわけではないのに
「そういえば、高校時代こういうことを習った気がするけど、今思うと素晴らしいことを教えてくれていたなぁ」
という風に思い出されてきたのです。

高校の授業の素晴らしさは若い頃はわからなかったのは、恐らくその学校の教育そのものよりも、ブランド校に通っているプライドにばかり執心していたからだと思います。

先ほど「学歴そのものに何の意味もない」と申し上げましたが、
名門校は看板だけで、教育そのものは大したことはないという意味ではありません。
むしろその逆で、看板だけに気を取られて教育の本質を学びとれなかったら全く意味がないということなんです。
つまりどの学校を卒業するかが大切なのではなく、そこで何を学ぶかが大切なんだ、ということです。当たり前ですけどね。

このことは海外にいると実感します。働いていく中、 エリート街道的価値観から脱却した僕は大企業を辞め、
母が切り盛りしていたレストランの経営を手伝うためにグアムに来ました。
アメリカの準州であるその グアムでも相当なインテリさえTokyo University以外の日本の大学はまず知らないものです。
僕たちだってドイツやロシア、インドの大学を挙げろと言われてもほとんどわからないのですから無理はありません。
だから海外にでると学歴なんて意味がないんです。たとえ東大を出ていようがせいぜい「スゴイんだね」程度です。
私たち日本人が北京大学を出ている人が中国においてどれだけのエリートか知らないのと同じことです。

では学歴ではなく、何が評価されるのでしょう?

※次号に続きます!

【今回の執筆者】
飲食店オーナー
鶴賀太郎 さん
1972年、東京生まれ。日本で証券会社、広告代理店など勤務の後、2005年よりグアムで日本食店を経営。
その傍らグアム国際映画祭のディレクターを務めたり、ライター活動をするなど多方面で活躍中。
Aji-Ichi Japanese Restaurant: www.facebook.com/ajiichi.guam
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富岡 麻美

富岡 麻美

1975年、愛知県生まれ。フリーランスライター。2児の母。大手企業数社でのアシスタント、秘書を経て結婚。海と山に近いまちで、子育てをしながらライフワークであるライティングおよび各種NPOの活動に従事。子どもの誕生がきっかけで幼児教育に興味を持ち、独学で学ぶ。様々な教育法を取り入れながらも独自のスタイルで、勝手気ままな育児の真っ最中。2012年より「NPO法人いきはぐ」ライターとして活動。