前回からの短期連載(予定)で、「無認可の学校への公的な支援の動き」について取り上げています。

前回までのコラム⇒http://ikihug.com/blog/?p=2785

先日11月24日、文部科学省主催の「全国フリースクール等フォーラム」に参加してきました。
全国からフリースクール等の関係者427名が参加し、会場がいっぱいとなる熱気でした。
「フリースクール」というと、日本ではいわゆる不登校向けの学校を指しますが、
「等」という一文字に、文科省としてもオルタナティブ教育全てを含めたいという意志があり、
いきはぐでも取材している無認可の学校にも参加が呼びかけられていました。
今回、便宜上、いきはぐ的な無認可の学校を「オルタナティブスクール」と呼んで、
この立場から見たフォーラムの印象をレポートしたいと思います。

フリスク等フォーラム

まず冒頭の下村博文文科大臣の挨拶では、
「歴史を変える画期的な会合」であることと、
(解散総選挙があるが)「文科省としての取り組み」だと強調され、
阿部政権や大臣個人の思惑ではない、継続的な取り組みだと強調されました。
また、フリースクール等に文科省が支援する目的として、
不登校の子どものケアという(福祉的な)考え方だけではなく、
課題解決型の人材の育成や、天才タイプの子どもの教育のために
「多様な教育機関をどう活用するか」という積極的な考え方が
あることが述べられました。
大学入試改革が本格的に検討されていることも引き合いに出し、
「1つのものさし・価値観だけで評価しない方向」へ進むためにも
必要だという考え方が示されました。

一方で、公設民営学校などは国会で批判も多く成立しなかったことが引き合いに出され、
「財政的支援」「制度的な仕組み」を考えたいという言葉はありつつ、
具体的な方法についてはまだ踏み込まれませんでした。

その後、不登校系のフリースクールの事例発表が3つ続いた後、
フリースクール等から見た日本の教育制度の歴史(タテの視点)について、
研究者の方(永井順國氏)のスピーチと、
国際的な視点から見た日本のオルタナティブ教育(ヨコの視点)について、
別の研究者の方(永田佳之氏)のスピーチがありました。

永田氏については、2.のおすすめ本で紹介した通りの方で、
スピーチの内容も、2.で紹介した本の内容とかなり共通していました。
おおまかに言えば、国連ユネスコが提唱しているESD(持続可能な開発のための教育)という
観点から見ても、日本のフリースクール等で行われている教育はとても優れている。
具体的に、京田辺シュタイナー学校や横浜シュタイナー学校、箕面子どもの森学園などの
オルタナティブスクールが優良事例として挙げられている、ことが伝えられました。
また、健全なマイノリティ、1割の妙が9割によい影響を与えるというお話もされていました。

全体的な印象としては、不登校の子どものケアをしてくれる福祉的な機関を支援することで
ドロップアウトや引きこもりの減少(経済自由化のセーフティーネットの拡充?)をしつつ、
教育の多様化による、既存の教育機関ではできなかったタイプの人材育成をしたい、
という文科省の意志を感じました。

実は、スピーチされた永田佳之さんには、私も学生の頃からお世話になっていて、
直接お話をお聞きしたり、別団体で講演に呼んだりしていました。
なので、今回永田さんが呼ばれて登壇した時点で、
文科省の視野が「不登校」だけでなく「教育の多様化」にもあると感じていましたが、
その期待は裏切られなかったという印象です。

今後、具体的な支援の方法について有識者会議が開かれ、
来年の5月から6月頃に中間取りまとめ、来年度末の平成28年3月には最終まとめをしたいとのことです。

※今回のフォーラムについて下村博文文科大臣のコメント
http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1353554.htm
この動きについては、自分でも整理してみたいことがたくさんあるので、
次回ももう少し掘り下げてお話ししていきたいと思います♪

ではでは。

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征矢 里沙

征矢 里沙

1983年、愛知県生まれ。高校2年生のとき、恩師との出会いがきっかけで、「日本の教育を変えたい」という志を抱く。慶應義塾大学総合政策学部に入学し、シュタイナー・サドベリー等のオルタナティブ教育を研究。2006年に大学卒業後、株式会社リクルートに就職。2012年、会社を卒業して「NPO法人いきはぐ」を起業、代表を務める。2013年5月に出産、1児の母。