ジュース

前回は、「不登校」になった子ども向けの「フリースクール」と、
もともとそこの教育を受けたい子ども向けの「オルタナティブスクール」について、
共通している点は何なのかを説明しました。
前回のコラム⇒http://ikihug.com/blog/?p=2939

今回は、何が違う点なのかを説明したいと思います。

【違っている点】

●優先順位が「ケア(居場所)」か、「教育(学び)」か

フリースクールの場合、不登校経験によって、程度の差はあれ
精神的に傷ついた子どもが多くやってきます。
不登校の原因となった事柄(いじめ、勉強、雰囲気など人それぞれ)はもちろん、
「学校に行けなくなった」こと自体にも傷つく子どもも少なくありません。
フリースクールでは、まずそうした子どもの精神的なケアや、
スタッフと信頼関係を築くことが大切にされます。
心身ともに安心できる、子どもの「居場所」になって、
そこから初めて、何かを学んだり、前に進むことができると考えられています。

オルタナティブスクールの場合、優先されるのは、基本的に
その学校が掲げている教育です。
前回のコラムで書いた通り、元の学校に合わなくて来た子どももいますが、
基本的には、特別なケアというより、その学校の教育方針に沿って子どもと接します。
その教育方針が、元の学校よりもその子に合っていれば、
それがケアにもなる、という形です。
理想は、新1年生から入学することであり、
あくまで教育の場であり、学びの場としてつくられています。

●親の考え方

フリースクールの場合、親が教育を選んでいるわけではありません。
多くの場合は、「できれば一般の学校に行って欲しい」と考えています。
ほとんどのフリースクールが無認可のため、
公立学校ならかからないお金が、フリースクールだとかかってしまうこと、
進学するのにハンデがあること、
また、「皆と同じ学校で、皆と同じ教育を受けるのが一番よい」
という考え方も、その原因です。

オルタナティブスクールの場合、基本的には、親が教育を選んでいます。
元の学校に合わなくてオルタナティブスクールに転校する場合も、
何らかの意志をもってそのスクールを選んでいる場合がほとんどです。
親が、子どもが元の学校に合わない・行かないということを受け入れ、
転校することも賛同しているからこそ、
子どもが「ケア」を必要とするほど傷ついていない(場合が多い)、
ということもあると思います。

●卒業のあり方

フリースクールでは、そこを出て一般の学校に戻る、という場合があります。
小・中学校の段階で、普通に勉強をして進学をしたいと思った場合、
無認可のフリースクールより、一般の学校に通った方が、
何かと便利であることは事実です。
ただ、場合によっては、そのままフリースクールで学び、卒業して、
受験や就職をするということもあります。

オルタナティブスクールの場合は、そのまま卒業して次のステップに
進むことを前提として、カリキュラムが組まれています。
実際には、通っている途中で親や本人の考えが変わって、
他の学校に転校するというケースもありますが、
スクールとしては、意図しているわけではありません。

以前、フリースクールとデモクラティックスクール(フリースクールに
学びのあり方が一番似ているオルタナティブスクール)の方の対話を聞いたとき、
「フリースクールの子どもは、新しい子が入ると、スタッフが付き添ってケアし、
信頼関係を築く必要があるので、スタッフの負担も増える。
デモクラティックスクールは、新しい子が入ると、
子ども同士で色々できるようになるから、スタッフの負担が減る」
という話をしていて、なるほど!と思いました。

「オルタナティブスクールって、不登校の子が行く学校でしょ?」と聞かれたときに、
分かりやすく説明する参考になれば幸いです。
ではでは♪

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征矢 里沙

征矢 里沙

1983年、愛知県生まれ。高校2年生のとき、恩師との出会いがきっかけで、「日本の教育を変えたい」という志を抱く。慶應義塾大学総合政策学部に入学し、シュタイナー・サドベリー等のオルタナティブ教育を研究。2006年に大学卒業後、株式会社リクルートに就職。2012年、会社を卒業して「NPO法人いきはぐ」を起業、代表を務める。2013年5月に出産、1児の母。