仲間

前回までは、「土地・校舎」について解説してきました。
今回は、「スタッフ」について考察したいと思います。

ここで言うスタッフとは、運営メンバーや教員などを差しています。
いわば、学校作りにおけるコアメンバー、という意味です。

以前、「財政」が一番桶の水が漏れやすいと書きましたが、(http://ikihug.com/blog/?p=3132)
この「スタッフ」および次々回の「保護者との関係」が、その次に漏れやすいといえます。
日本ではオルタナティブスクールに対する公的支援も少ないですが、
逆に、積極的につぶすような規制や弾圧もありません。(放置型、と分類する研究者もいます)
つまり、もしつぶれるとしたら、その原因には必ず「内部崩壊」があるのです。

一番重要なのは、桶の一番最初に解説した「理念」が、メンバー内で共有されているかということです。
(http://ikihug.com/blog/?p=3112)
色々なところを取材していると、教育に携わる方々は、教育に対する熱意と思い入れが強いので、
こと一緒にやっていくとなると、少しの違いがものすごく大きな違いになると感じています。
オルタナティブスクールでは、この創設メンバーが、のちに運営メンバーとなったり教員となる場合も多いですが、
中には、創設メンバーと、その後の運営メンバーが、丸々入れ替わったというケースも何件もあります。
一緒にやってきたメンバーが去るのは、去る方も残された方も強い痛みを伴いますが、
筋の通った教育や運営を行うために、そうした段階を経るのは、
どんなスクールでも避けられないように思います。

学校作りのコアメンバーが安定したら、
新たに教職員を増やす必要が出てくる場合もあります。
そのときも、当然、理念の共有は最も大切です。それを念頭に置いた募集方法・採用基準を考える必要があります。
しかし、その学校にぴったりな素晴らしい教員というのは、そうなかなか外部で見つかるものではありません。
様々な学校を取材して感じるのは、
学校内に「育成」の仕組みを作っていくことが重要だということです。

たとえば、シュタイナー教育は、世界的に基準が揃えられた「教員養成コース」がありますが、
グローバルに学校が広がっていった理由に、こうした教員養成の仕組みを、創設者が作っていたということは大きいと思います。
(モンテッソーリ教育にも同様の経緯があります)

10年以上続く学校では、研修生・インターン・ボランティアなどの制度を設けたり、
独自の教員養成講座を行っているところがほとんどです。
新しい教員は、それらを経た人のみを採用するのが、お互いのマッチングにとっては有効です。

その先にある理想形としては、「その学校の出身者(元生徒)が教員として戻ってくる」ということでしょう。
20年以上続く「きのくに子どもの村学園」では、既にそうしたケースが増えていますし、
他の学校でも、ボランティアやイベントスタッフで卒業生が戻ってくるという話を聞くことが増えています。
また、90周年を迎えた「自由学園」では、幼児部から最高学府(これはなんと「無認可の大学」なのです!)まであり、
約半数の教員やスタッフがこの学校の出身者で、
残りの半数は、新陳代謝のためにあえて外から入れているそうです。

欧米に比べると、まだ歴史の短い日本のオルタナティブスクールですが、
こうした循環が起こっているのを見ると、これからもっと発展していける段階なんだ、とわくわくしますね♪
いきはぐも、こうした人材のマッチングや循環を支援できるような仕組みを
作っていけたらいいなと思います。

次回は「保護者との関係」についてお話したいと思います!

ではでは。

※いきはぐでは、上記テーマで講演・勉強会・個別相談などを受け付けています。
また、質問等がありましたら、お気軽にinfo@ikihug.comまでご連絡下さい!

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征矢 里沙

征矢 里沙

1983年、愛知県生まれ。高校2年生のとき、恩師との出会いがきっかけで、「日本の教育を変えたい」という志を抱く。慶應義塾大学総合政策学部に入学し、シュタイナー・サドベリー等のオルタナティブ教育を研究。2006年に大学卒業後、株式会社リクルートに就職。2012年、会社を卒業して「NPO法人いきはぐ」を起業、代表を務める。2013年5月に出産、1児の母。