指さし

 

自分にぴったりな学校・園と出会うために、
前回は、「子どもに合わせて選ぶには?」についてお話ししました。
今回は、「子どもに学校・園を選ばせるべき?」についてお話したいと思います。

学校・園を選ぶときに、「学校・園を選ぶのは、親でいいのだろうか?」
「本当に子どものことを考えるなら、学校・園も子ども自身が選ぶべきなのでは?」
という疑問を持つ方もいると思います。
一方で、「でも、子どもに学校・園をちゃんと選ぶことができるのか?」
「選ぶ責任を子どもに負わせるのは、かえってかわいそうではないか?」
という問いを持つ方も多いと思います。

まず、「子どもが選ぶ」といっても、
「学校・園を選ぶという考え方を持って、情報を0から自分で収集する」というのは、
幼児期~小学生くらいでは、現実的には不可能に近いです。
ですので、今回は、「選択肢は親が提示する」のを前提として、
「どこに入るか(又は入るか入らないか)を、子どもに選ばせるべきか」という
ことについてお話したいと思います。

結論から言うと、このテーマには「正解がないのが正解」だと私は考えています。

このテーマでは、『生きる力』をはぐくむ学校・園の側でも、考え方の違いがあります。
以前、「「教育内容」の特徴をつかむ」という話で、『生きる力』をはぐくむ教育には、
1.体系的なカリキュラムや教員資格があるタイプ
2.現場の教師やスタッフが企画するタイプ
3.子どもの希望が中心のタイプ
という3つのタイプがあるというお話をしましたが、
「子どもに学校・園を選ばせるべきか?」についての考え方は、
大きくいえば、この3つのタイプごとに異なります。

1.のタイプ(シュタイナー・モンテッソーリなど)は、
【親が、愛と責任を持って選んであげるのがよい】という考え方です。
その奥には、「子ども時代には大きな判断を求められず、
親を信じて安心して過ごせることが必要である」という考えがあります。

2.のタイプ(独自系など)は、
【最終的には子どもに選ばせるのがよい。ただし責任は大人が取る】という考え方です。
その奥には、「子どもの頃から自己決定の経験が必要。
ただし、それによる失敗や誤りは大人がフォローしてあげることが大切」という考えがあります。

3.のタイプ(サドベリー・デモクラティックスクールなど)は、
【必ず子どもが自分で選ぶ。責任も子どもが自分で取る】という考え方です。
その奥には、「子どもは、自分に必要なものを自分で選ぶことができる。
その結果も全て経験することが、その子にとって必要な成長の糧になる」という考えがあります。

学校か幼児教育かでも異なりますが、大まかに分類するとこんな感じです。
どのタイプでも、子どもを中心にして考えた上で、異なる結論を出しています。
そのどれもが、一理あると私は思います。
どれが正解ということはなく、親としてどの方針がしっくりくるか、という基準で考えるとよいと思います。

ただ、実際の現場では、タイプに関わらず色々なやり方があるようです。
例えば、1.のタイプの園でも、
「子どもが、他の園では緊張していたけど、この園では自然に楽しそうに馴染んでいたので、それを見て決めた」
というような話をとてもよく聞きます。
2.のタイプのある学校では、「体験入学で『こんな学校絶対入るもんか』と言った子がいたけど、
様子を見ていた先生の判断でもう一度体験させてみたら、前回のときは熱があって機嫌が悪かっただけだった。
結局、喜んで入学した」という話を聞きました。

つまり、「選ばせる/選ばせない」の度合いも、具体的には色々なパターンがあるということです。
子どもの性格によっても、違ってきます。
「ここがいい・嫌だ」とはっきり意思表示する子もいれば、
別にどこでもいいという子もいます。

というわけで、前回の話とも重なりますが、「選ばせる/選ばせないのがいい」と決めてかかるのではなく、
子どもの心の声を聞いて対応しようという心構えが大切だと思います。
という意味で、「正解がないのが正解」というのが、私の中での結論です。

とはいえ、前回・今回の「どんな子どもにどんな教育が合うか」というテーマについては、
今後もっと研究していって、もう少しヒントが提示できるようになれたらと思っています。

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征矢 里沙

征矢 里沙

1983年、愛知県生まれ。高校2年生のとき、恩師との出会いがきっかけで、「日本の教育を変えたい」という志を抱く。慶應義塾大学総合政策学部に入学し、シュタイナー・サドベリー等のオルタナティブ教育を研究。2006年に大学卒業後、株式会社リクルートに就職。2012年、会社を卒業して「NPO法人いきはぐ」を起業、代表を務める。2013年5月に出産、1児の母。